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著者 矢原隆行
発行 公益財団法人 矯正協会
発行日 2024/9/12
「リフレクティング」とは「オープンダイアローグ」と呼ばれるフィンランド発の精神療法におけるミーティングの方法のことです。それは「人間と人間がかかわる場において、お互いを尊重しながら、風通しの良いコミュニケーションを生み出すための工夫に満ちた会話の方法」と言えると思います。
しかしそれは、ともすれば言葉の響きから「オープンに対話しよう」といった漠然としたいいものを想像される向きもあると思いますが、そのような「方法」のないものではなく、また巷の道徳的な「話し方・聞き方講座」や「悩みごと相談講座」でもありません。
それは発祥の地フィンランドでは精神病院での精神療法であり、この本では少年院や刑務所での実践ということからも明らかなように、このリフレクティングの「場」を作る取り組みは、特に強固なピラミッド構造のヒエラルヒーを持った場所においてこそ、治療的であり、教育的になるということなのです。そしてそれを学ぶということは、なによりも外と内とにあるその構造に気づくことが大切であることのように思います。
本書がおもな読者として想定しているのは刑務所や少年院といった現場で働いている方々ですが、そこにとどまらず、学校や施設、行政組織や会社に身を置いている方々にとっても、同じ意味でいっしょに取り組んでいただければと考えています。
人が生き生きと回復できる場は、その組織の職員間の関係や運営のあり方自体が風通し良く、気持ちの良いものであってこそ、はじめて有効なものになるのですから、「リフレクティング」の取り組みは、そういう関係づくりを進めていくための大きなヒントに満ちていると言えるでしょう。
巻末に具体的なリフレクティング・トークを実演・紹介する動画のDVD付。
なお、本書は一般の書店での販売はしておりません。