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著者 辻野弥生
発行所 五月書房新社
発行日 2023/7/10
福田村事件とは、関東大震災の5日後の9月6日、千葉県福田村(現野田市)で、香川県の薬の行商人15人が、彼らを朝鮮人と誤認した地元住民の群衆に、胎児を含めて10人が殺害された事件のことです。
事件の直接の引き金は朝鮮人への差別意識ですが、犠牲者が、差別によって地元では耕す土地もなく故郷を離れて行商で生きるしかなかった被差別部落出身者であったことが、事件の真相解明をさらに難しくしました。
地元ではタブーであったこの事件のことを、著者は関係者に食い下がることで、なんとか研究誌に事件の全容をまとめ、2013年に書籍にしたのですがその後絶版、今年新版として復刊しました。
「何度でも書く。凶悪で残虐な人たちが善良な人たちを殺すのではない。普通の人が普通の人を殺すのだ。世界はそんな歴史に溢れている。ならば知らなくてはならない。その理由とメカニズムについて。‥学んで記憶しなくてはならない。」(森達也)