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著者 束元理恵
発行 ぞうさん出版
発行日 2022/11/1
著者は憧れの幼稚園の先生として働き始めるも体調不良で余儀なく退職。やがて猟師になるために県北の北広島町に移住、働きながら猟師修行に明け暮れます。その暮らしを中国新聞に「あこがれ山暮らし」として2年連載後、改めて全体を書き下ろし直したのがこの本です。
挫折も涙も愛も笑いも心細さも大胆さもある、狩猟女子の青春物語ですが、一つのヤマ場は、ウリ坊の時から彼女が名前まで付けて育てたイノシシ2頭を殺して食べようとするところ。はたして彼女は、彼らを捌くことができるのか? ドキドキしてページをめくるのが苦しくなります。
また読み進むにつれ、芸北の厳しくも豊かな自然や、彼女に身をもって狩猟を教える先輩猟師や生活の知恵を授けてくれる近所のおばあさんなど、中国山地の人々の暮らしの厚みといったものが、彼女のいきいきとした筆力によって大きな副主人公として迫ってきます。
自分の生き方に悩んでいる特に若い人にとって大きなヒントになる本だと思います。