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ヘヴィ

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著者 キエセ・レイモン 出版社 里山社 発行日 2021/6/16  1974年ミシシッピ州生まれ、いわゆる「ディープ・サウス」出身の著者による自伝的小説です。この本で彼は何度も語ります。「ぼくは心地よい嘘を書きたかった」と。「心地よい嘘」とは、つまりはそれまでの、差別的な白人社会への抵抗という「定型化した黒人の物語」のことですが、しかしここで実際には、彼は黒人の同胞に向かって、自分たちが忘れてしまいたがっていることを直視する文章を書き始めるのです。  たとえば、彼の母親は黒人政治学者として活躍する大学教授ですが、私生活では母子家庭として息子を鞭打ちして育てるなど、家庭は常に不安定な状態にあります。白人社会の中でキャリアを築いていくことへのストレスで、ときにはカジノに惑溺して有り金をはたき、大人になった「ぼく」に電話をして送金させたりもします。  「ぼく」にしたって、同じストレスからくるジャンクフードと運動とで体重が70キロ~140キロの間を乱高下していくような生活なのですが、そういう母子の行動を、著者は自虐としてではなく、そうさせてきたものをはっきりさせるために書く姿勢のため、苦渋に満ちながらもどこかそれをつきぬけた若々しさも感じさせます。  やがて「ぼく」は大学の教師として働き始めますが、学生たちに対する面倒見の良さなどは最も「未来」を感じさせる部分かもしれません。   文体は黒人英語やラップ・ヒップホップ系の影響がうかがえるリズミカルなものなので、アメリカの生きた現代史を体験したような気持ちになれる本です。

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