著者 國分功一郎
出版社 医学書院
発行 2017/4/1
20.8 x 15 x 2.8 cm/330P
中動態とは何か?
それは、能動態と受動態の中間にあるものなのか?
現在、多くの言語で消滅しかかっているように見える中動態。
しかし世界最古の言語においては中動態こそが言語の中心であったのに、歴史を下るにつれ、能動態と受動態の隆盛の陰で隅に追いやられていった中動態。なぜ、そうなってしまったのか。
著者は「誰も気にかけなくなった過去の事件にこだわる刑事のような気持ち」で中動態を追いかけ始め、刑事の推理の手法は、学問的な手続きを踏まえることに置きかえられて、何がどのように中動態を消滅に追い込んでいったかを明らかにしていきます。
その探求は実にスリリングで知的刺激に満ちていますが、それが同時に「各種依存症の治療とそこからの回復」というアクチュアルな課題としっかりと交差しているということが、とても貴重な取り組みに感じられます。それは、中動態の持つ「おのずから、そうなる」という性質を、時代が切実に求め始めたからでもあると思います。
この中動態からの発想は「野の花診療所」徳永進医師の言う「自動詞の豊かさ」にもつながっている視点のように思えます。