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プシコ ナウティカ

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著者 松嶋健 発行所 世界思想社 発行日2014/7/20 なぜイタリアは精神病院を廃絶したのか? その背景にどのような考えがあったのか。 同じように精神病院を廃絶したアメリカとの違いは何か? 精神病院から地域への移行で何が生じたか。 病院から地域に場所を移動しただけでは、壁のない病院であることに変わりはないと考え、当事者が地域の中で主体性を取り戻すための精神保健センターをつくる取り組みをすすめたバザーリアたち。 そのようなイタリアの精神医療改革の動きを、芸術的な感受性を持つ人類学者が豊かに描く。 この本にはじつに多くの刺激的な問いかけがあり、読みながら自然と「いまの自分がいるところ」を根元から考えようという気持ちになっていきます。 たとえば「近づいてみれば誰一人まともな人はいない」というイタリアの精神保健のモットーの深さについて。たとえば「強い主体であろうとすることの病」って? また「もとの病気」の上に長期の施設暮らしという「病気」が重なった「施設化」とは? などなど。 後半の、イタリアのとある街で、道行く人に大声で世界の現状を説き続け、人々から軽い侮蔑をこめて「同志ゼーノ」と呼ばれていた男の話、彼が亡くなった時、多くの人々が涙し、街中の至るところに「さよなら同志ゼーノ! 同志たちより」という追悼の垂れ幕が掲げられたという場面など、さすがにグッとこみあげるものがありました。

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