著者 大澤真幸
出版社 青土社
発行日 2023/11/15
もし先生がいなかったら、いまの私はなかった。
だが、どうして私には先生が必要だったのだろうか。
いや、そもそも、探求者は、どうして先生を必要とするのか。
〈先生〉と「先生」とは異なっている。対照的だと言ってもよい。普通「先生」とは「(私より)知っている者」のことである。私たちは「先生」から「答え」を得ようとする。「先生」は私が知るべきことをすでに知っているはずの人である。
しかし〈先生〉は違う。‥‥まったく逆である。〈先生〉は「答え」をもっている人ではない。私にとって〈先生〉とは、逆に〈問い〉を誘発する人である。
本書は見田宗介、中井久夫、磯崎新、ハンナ・アーレントなど、著者にとっての〈先生〉たちの思考と実践から触発されて書いた16本の論考を収める。