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虫の文学誌

4,070円

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著者 奥本大三郎 出版社 小学館 発行 2019/7/17 15.4 x 2.8 x 21.6 cm/448P 江戸時代の俳人で、松尾芭蕉の弟子、内藤丈草の句に、      大原やてふの出て舞ふ朧月 というのがありこの句をどう解すべきかと様々な説が出る。 「“てふ”という言葉を、昼間の蝶とのみ解するのは間違いですよ、古くは、蛾のことも“てふ”と言っていますよ。ちょっと前まで“蚕のてふ”などと言いましたから」 と、知ったかぶりをする人もいるであろう。  ここで「では、その蛾の種名を特定できますか」などと、野暮な意見を述べたくなるのが、かく言う私であって、春先に出て朧月夜にあくがれでるような、つまり、このイメージに合う舞い方をするのは、オオミズアオに違いない、と断定したくなるのである。  それと、大原という土地が問題。丈草のような文人の場合、大原といえば、『平家物語』を思い出したことであろう。清盛の娘、徳子が、壇ノ浦の敗戦に、「いまはこれまで」と入水しながらも命を助けられ、出家して建礼門院として余生を過ごしたところである。  だからここは、オオミズアオの姿を借りて朧月夜にひらひら舞い出てきた建礼門院の霊魂、と我々虫屋は解く。(著者、自著を語る、から)

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