SOLD OUT
著者 和田誠
出版社 ナナロク社
発行 2017/1/25
私にとって、その人のイラストが身近にあるのは、空気のように当たり前のことでした。しかし昨年、和田誠が亡くなった時、その追悼特集などを見て、実はそれは当たり前どころか、とても貴重で幸運なことだったのだ、ということに初めて気づきました。失ってはじめてわかることが多い、とは困ったことです。
その和田誠の、長い間の絶版であった『倫敦巴里』が、『雪国』の文体模写シリーズの続編などを加えて再編集されたものがナナロク社から出版されました。
その「文とイラスト」の切れ味は、権威を引きずり下ろすパロディというよりも、おちょくっているように見えながら、実はその当事者を読者に再認識させるような愛情に満ちていることがわかります。
和田誠の仕事があったことで、私たちは知らず知らずのうちに、どれだけ朗らかで気持ちよく生きることができたことか。この本を読むと、それがよくわかります。