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発行人 中村ヒロキ 編集長 井出幸亮 発行所 キュビズム 発行日 2023/10/14 〈折衷時代のアーツ&クラフツ〉を掲げる雑誌の第6号。 その取材対象が日本であれ外国であれ、じつに丁寧な取材で、ビジュアル的にも内容的にも読みごたえがあります。 今号は特に陶芸や染め織物などの充実した記事が多い。 たとえば「ともにまなぶ、つくる、つながる」という特集では、ケンタッキー州でアパラチア山脈の工芸文化を現代に繋ぐ学校「ベレア・カレッジ」と、京都の里山で染め織り暮らす「ザ・ヴィレッジ」という共同体がページを費やして紹介されています。 「ベレア・カレッジ」は他の大学とは異なり、南部で最初の男女平等共学の大学であり、1892年以来、100年以上学生に授業料を課していない。「授業料なし。嘘じゃありません」という大学のコピー文もあるくらい。ではどうしているかというと、高い学力を持ちながら経済的な理由で進学することが困難な生徒に対し、大学の経営する農場やレストランで一定時間働くことで授業料を無償にするシステムになっていて、その就労の1つに地元アパラチア山脈の「伝統的手工芸品の制作」という人気プログラムがあるという話なのです。 この記事ひとつとってみても、暗い話ばかりが続く日本に住んでいる者から見ると奇跡のような取り組みに思えてなりません。 他にも日本の民藝運動から影響を受けたカリフォルニアでの陶芸文化の話など目を離せない取材記事が続きます。 大判160ページ。服飾の会社らしく、天然染料である柘榴(ざくろ)で染色されたミシン糸を使い、職人さんが1冊1冊をミシンで綴じた雑誌です。 内容だけでなくこの雑誌そのものが手作り製品として、永久保存される価値がありそうです。

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