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著者 藤井聡子、清田麻衣子
発行 里山社
発行日 2023/5/27
コロナ禍で、孤立しているのに孤独になれないような時期が続いたこともあり、私たちは自分の足元を語る「語り口(文体)」の力が衰えてきたところがあるんじゃないだろうか。もちろん、ええカッコしの自分、優等生になりたがっている自分という問題も含めて。
というようなことを考えていたところへ、この『里山通信』0号です。
里山社・清田麻衣子と『どこにでもあるどこか~』の藤井聡子という2人の旧知の女性の、よくもこれだけあけすけに語り合えるものだと思えるほどの対談と、それに続く2人の近況を綴った文章から成り立っています。
それは、故郷という名の見知らぬ土地に戻ってきた話であり、酒の飲み方の変わりようの話であり、「居場所」とは本当のところ何なのかという話でもあり、仕事疲れのストレスをバカバカしいことで埋めていく話でもある、そんな話が40代半ばの少し苦い疲労をかかえた身として語られていきます。
おそらくこの冊子を読んだ人の多くは、状況はまったく違えど、まるで自分のことのようにこの冊子について語りだすんじゃないでしょうか。そういう意味でコロナ以前に戻るのではなく「コロナ後を等身大に模索」するZINEだと言えそうです。