new
文・池澤夏樹、絵・黒田征太郎
出版社 スイッチ・パブリッシング
発行 2022/8/6
じつにユニークな絵本が今年(2022年)の8月6日に出版されました。
その➀‥まず、その主題が広島市に実在する被爆建物の陸軍被服支廠であること。としたら普通はリアリズムで描かれるまじめな物語を想像してしまいますが、さにあらず。
その②‥主人公は「ネコ」と「神社のクスノキ」。彼らが被爆前と被爆後にかけて目にしたことを、それぞれの立場で対話しながら物語は進んでいきます。最後には微かではあるけれどもたしかな希望の芽も。
その③‥背景の四棟の陸軍被服支廠をはじめ、兵隊やB-29の飛行機までが、杣工房・早川泰輔作の木工作品になっていること。その存在感で画面が立体的で迫力に満ちたものになっています。
その④‥そしてそれらすべてを活かすような、絵本でここまでできるのかという黒田征太郎の大胆な絵。
その⑤‥巻末には池澤夏樹による簡にして要を得た「ヒストリー陸軍被服支廠」。その建物の果たした歴史的な役割が、これでよく頭に入ります。