著者 石牟礼道子
出版社 藤原書店
発行 2016/8/26
19.5 x 14.5 x 6.3 cm
◎一九六九年、熊本において「水俣病を告発する会」が発足した。代表になっていただいた高校教師本田啓吉先生がおっしゃった言葉を今に忘れない。
「我々は一切のイデオロギーを抜きにして、ただ、義によって助太刀致します」
この時、義という言葉は字面の観念ではなく、生きながら殺されかかっている人々に対する捨て身の義士的行為を意味した。
◎私は、この『苦海浄土』という作品を、まさにこれと同じ気持ちで「義によって助太刀いたす」という思いで書きました。
◎拙いこの三部作は、我が民族が受けた希有の受難史を少しばかり綴った書と受け止められるかも知れない。間違いではないが、私が描きたかったのは、海浜の民の生き方の純度と馥郁たる魂の香りである。生き残りのごく少数の人達と、今でもおつき合いをさせていただいている。まるで上古の牧歌の中に生きていた人々と出会うような感じである。
(「あとがき」から)
幻の第二部を含んだ全三部作です。水俣病を抱えて生きていく人々の生活と闘いの圧倒的な存在感が、石牟礼道子の文章を通して浮かび上がります。
三部作として、しっかりと読み通したい本です。
〇巻末に、赤坂真理・加藤登紀子・渡辺京二、他四名の、60ページを超える解説が載せられています。