new
著者 渋谷敦志
出版社 サウダージ・ブックス
発行 2020/11/3
毎日世界で起こる災害や紛争。そのたびにテレビや写真で報道される現地。今度はどこ? 死者の数は? あれから1年か。私たちにはすっかり慣れっこになっている風景です。不謹慎なのか、しかたがないことなのか。ともかく消費されるスピードがすさまじい。
この写真集もまた、世界のさまざまな地域の現実を写し撮っています。
しかしよく見ると彼は「悲惨な現地」を撮っているのではなく「人間」を撮っているのだということがわかります。
たとえば、ひとりの避難民の母親の言葉を写真とともにこう記します。
「食料を得るために10歳に満たない息子に物乞いさせた。その息子を路上で見た。物乞いする息子の姿を。それはわたしの一番の痛みです。」と。
このように写真の傍らにある文章が「ひとりの声」を聴きとる明晰さをもっているのです。それは東日本大震災時、家族を探してガレキを歩く人を撮ったことに寄せる文章などにも言えることです。
「一人ぶんの責任を持つ」姿勢といえばいいのでしょうか。
この本のタイトル「今日という日を摘み取れ」は、ギリシャで多くの難民が乗るバスの側面に書かれていた「Carpe Diem」という言葉の訳で、古代ローマの詩人ホラティウスの言葉だそうです。